自主制作時代の弊害?(改訂)

maryjoy2007-02-16

最近はアーティスト個人が自主で CD を作って出していて、それぞれ小さく盛り上がるけど大きな流れに繋がらない、それって自主制作ブームの弊害なんじゃないか?という話を聞いたので、チャリに乗りながら自主制作について考えてみました。日本はアメリカの def jam のような、hip hop 専門のメジャー・レコード会社がない(少ない?)から、インディーズか、あとはみんな個々に頑張っていますよね。自主制作精神は、ヒップホップの基礎であり「パワー」の源だと思っているので、みんなどんどんやるべきだと思っています。まだ日本では、一人一人がヒップホップの裾野を広げるくらいの意気込みが欲しいですが。
ちょっと話かわりますが10年くらい前の話で、shing02 がボーカルを録音するとき、やたらと一発録りワンテイクにこだわってました。それは録音は、声が綺麗に録れたとか、歌詞間違えずにラップ出来たとかよりも、吹き込んだエネルギーが大事だ!という理由だったんですね。一発一発、一語一句に「気」と「エネルギー」を込めてやろうって事でしょう。彼の 96年録音の ep「絵夢詩ノススメ」は、大胆なスキットと、ビート・ラップ・スクラッチの三拍子揃った、ヒップホップの基本が詰めこまれた、僕の大好きなアルバムの一つなんですが、ビートを作り初めてからアルバム完成まで 7日間 だったそうです(the nonce の sach が1998年に発表したカセットアルバム「Seven Days To Engineer」も制作時間 7日間でしたね)。
何事も最初は周りの評価とか完成度とかを気にせず、自分が格好いいと信じる音を出していくので良いと思います。技術は後からでも磨けるし、まず自分にしかないエネルギーや伝えたいメッセージがあるならそれを人に知ってもらうことが大事だと思います。それで、アートもビジネスも両方やりたい人はレーベルを立ち上げた方が良いし、アートをやりたいがビジネスには興味がない人はビジネス・パートナーを見つけた方が良いでしょう。現場のファンや仲間と違ってメディアやマーケットは非情です。純粋なアーティストがそこへ行って、創作意欲を削がれてしまうひとも居ると思うので。逆に、ダイレクトに反応が見れて面白いっていう人はビジネス向きです。
Zen La Rock 君がこないだ話していたんですが、彼はこれまで自主でシングルを2枚出していたんですが、今年 b-boy の洗礼から10年目にしてようやくアルバムを発表するそうです。次は自主ではなくレーベルから。彼は自主で出してきた経験があるから要領が分かっていて、レーベルの動きの良いところ悪いところが分かるそうなのです。動きの悪い部分は指摘して改善してもらるし、アイディアも自分でバンバン出していけるし、そこでも経験が活かされますよね。
逆に、レコード会社の動きはもう読めたから、自力に切り替えるっていうパターンも当然 あるある だと思います。ハイログリフィックスはその例だと思います。その場合もビジネス的に組める人が居たらなお良しでしょう。日本の hip hop は、dj や mc は多いけど彼らを支える裏方の数が圧倒的に少ないと思います。裏方は、高床式倉庫の柱にあるネズミ返しのように、音の住人へ忍び寄る邪気を追い払わなくてはいけないので、めっぽう大変な仕事ではありますが、音楽好きならやり甲斐あるだすよ。だんだんおみくじの原稿を書いているみたいになってきてしまったので失敬、また続きは次回。