最後に、音楽に関わるものとしての見地(独り言)。

カクマクが言うように、沖縄には様々な問題があるのに、本土の我々は殆ど何も知らない。ニュースやテレビで報道されるニュースだけが日々起こっていることだと思ってしまっている。自分もDUTY FREE SHOPP. X カクマクシャカの「民のドミノ」を聞くまで沖縄国際大学の米軍ヘリ墜落事件のことを、恥ずかしながら知らなかったしそれは言い訳できない。だけど、あの曲が無かったら僕は一生知らなかったかもしれないし、沖縄に関心を持つことも無かったかもしれない。もっと言えば、あの曲がDOPE(ドープ)だったから、僕は何度も聞いて感動したわけで、あの曲が格好良くなかったら沖縄への感心も沸かなかったかもしれないし、カクマクシャカと個人的に会うことも無かったかもしれない。薄情な言い方かもしれないけど本当の話だ。そういう意味で僕はカクマクの導きで沖縄に行き、自分でも知らないうちに高江の現状を見たのだ。だから彼には感謝している。
他方で、沖縄だけでなく、日本中、特に田舎のほうはもっと違う問題を抱えているところも多く、僕の場合そうした関心を、音楽を通じて得ることが多い。山梨の Stillichimiya もその例だ。
ではどうしたら自分たちの置かれている状況を音楽を通じて全国の人に訴えることが出来るのか? どんなに良いメッセージがこめられていたとしても、その前に曲がよくなければ、詩がよくなければ、人に良いと思ってもらえなければ、多くの人に聞かれる機会を失ってしまうだろう。
だから、アーティストの仕事は人を感動させる音楽を作り続けることなのだと思う。そして僕は人を感動させるレコードを作り続けたい。ツアーの企画もそのためだ。
音楽は人と人をつなげるもので、隔たりをかき消すものだ。今回の沖縄巡礼で、それを強く痛感した。個人的には、もっと沖縄のこと関心を持って知っていきたい。自分に何が出来るかわからないが、それを考えるのも楽しい。
肥後