The TBS Project: DJ Top Bill Interview

DJ、プロデューサー、レコーディング・ミックス・エンジニアとしても顔を持つDJ Top Bill氏。彼が主宰するTop Billion StudiosのミックスCD / コンピレイションアルバム「The TBS Project」が、先月15日にHMVから先行発売された。まだ謎の多いTop Bill氏の生態に触れるためインタビューを敢行しました。


INTERVIEW WITH DJ TOP BILL (10.31.08)


photo by Ayako Yamamoto (Liquid Loft 10.21.08)

Q. Top Billさんが主宰しているTop Billion Studiosについて聞きたいんですが、エンジニア業はいつから始めたんですか?
「僕がアメリカ在住時代にエンジニア学校に通っていて、そのころからちょくちょく友達の録音を手伝ったり、自分のミックステープ、ミックスCDの録音をやっていたのですが、2003年に日本に帰還してから機材を集めて東京にスタジオを開設しました」


Q. 最初の頃はどんなレコーディングを手がけていたのですか?
「最初はミックステープ、ミックスCDで、録音を始めたのはその延長線上です。まだアメリカに住んでいた頃、自分の制作したミックステープにボーナストラックを入れたくて、友人のShing02オークランドの自宅アパートに呼んでラップを録音してもらいました。それが"Sun in the Baycement"という曲です。僕はDJだったので当時マイクを持っていなくて、Shing02が自分のマイク、確かOctavaだったと思うんですが、を持ってきてくれて、それを借りて録音しました。それ以外にもいろいろなラップ・ミュージシャンの録音を手伝いました」


Q. 初期の代表作は?
「自分が制作していたミックステープ「Top Billion Dollar Breaks」シリーズなどですかね。最近までスタジオの名前も"Top Billion Dollar Studio"と呼んでいました。その昔は名前がなくて、The NonceのSachがうちに来たときに「ここはTop Billion Dollar Studioだ」と勝手に命名されてしまいました」



letter by MR44


Q. The NonceのSachが命名ってマニアックっすね。
アメリカで初めてサインもらったラッパー達がThe Nonceでした。僕がレコード屋で働いていた時に彼らが来て、店にポスターがあったので、サインをお願いしたのですが、話してみたらいい人達でした。サインもらったその5-6年後に「Tags of the Times 3」がリリースされる時に再会してって感じですかね」


Q. スタジオは何年に東京に移ったのですか?
「2003年の頭ですね。Live Humanが日本にライブしに来た年です」


photo by Kisimari; Top Bill, Shing02, Motoki Yamaguchi (Liquidroom, Shinjuku 11.14.2003)


Q. Top Billion Studiosでは、現在はどんなアーティストがレコーディングしているのですか?
「とりあえず僕の周りの人達。Shing02や、Candle、CHIYORIAri1010とかとか、今回のT.B.S.Projectに参加してくれた人達、スタンス的には今も昔も変わってませんね」



The TBS Project (Mary Joy Recordings MJCD-046) art work by SNEA


Q. 今回のThe TBS Projectにはどうやってメンツが集まったんですか?
「そーですねー。自分がお世話になっている人、自分の興味のある人、自分の事に興味を持ってくれている人、などなど。なかなかこういうタイミングでもないと一緒にできない人達ばかりですねー」


Q. DJ DUCTさんは付き合い古いんですか?
「そうだな。彼はDJ Top Billの「Prelude To One Dollar Store」(2005)のリリースパーチーでDJしてくれましたね。一個のターンテーブルであれだけやるのは、すごいっすよ。One and Twoじゃなくて、Oneですね。その後、Eri Bll Orchestraの「Tropical Temple」(2007)も気に入ってくれて、去年の年間ベストアルバムにもピックアップしてくれました。ツボが似ているのでしょうか?」


Q. 今回のTBS Projectに収録されているEri BillのRemixも、最高にファンキーで格好いいですね。
「同じDJ & Producerという立場として、通じるものがあるのかもしれない。好きな機材やらも似ていたりとかで」


Q. RUMIとTop Billの組み合わせは意外性ありますね。
「彼女とは、Candleのファーストのアルバム「街角ジゴロ」の録音の時に初めて会ったので、Candleの紹介って感じですかね」



photo by Takashi Hirama; RUMI as Cat Fight (Unit 6.18.07)


Q. 今回彼女がラップしている「A.L.a.R.M!!」という曲は、機材はどんなのを使っているのですか?
「REASONっていうソフトウェアです。前はSP1200って言うシーラカンスみたいなハードウェア機材を使っていて急に進化しました」


Q. REASONというソフトだけで全部作れるのですか?
「全部つくれるのです。アメリカで数年前にプロジェクトスタジオにスタンダードである機材を一つのソフトにまとめてしまった感じです。SP1200や、マッキーや、Akai S3000や、TR808とかをMacBookに入れて持ち歩ける感じです」


Q. Top BillといえばSP1200っていうイメージがあったのですが、操作性とか音とか、いままでと違和感とかはないですか?
「最初は、ありましたね。SP1200は、機能的にめちゃくちゃシンプルですからね。最初はREASONって機能が多すぎて分からないって思ったけど、使いたい所だけかいつまんでいったらREASONをSP1200のように使えるようになりました。更に+αで作業したら、こんなスゴいものはない!って思いました。音も太くできるし」


Q. CHIYORI x Shing02 の「ひとかけら」はSP1200っぽく聞こえるんですが、この曲もREASONですか?
「あれは、SP1200でサンプルした音をREASONに入れてドラムを組みました。そしてREASON内でSP1200のようなよれたタイミングにしました」


Q. CHIYORI x Shing02と一緒に曲をやることになった経緯は?
「あのビートを最初Shing02に聴かせたら「このビートにはCHIYORIちゃんが合う!」っていうので、二人にボーカルを乗せて貰うことになりました。それ以前にShing02の「歪曲」のレコーディングでCHIYORIちゃんがスタジオでコーラスを録音していて、それからかなり気に入っていました。しかも、僕のような癖のあるビートには合う歌だなと内心思っていました」


Q. 今回のプロジェクトは、Top Bill以外にも、若手からベテランまでいろいろなプロデューサーが参加していますが、彼らの曲をスタジオでミキシング手がけてみて、苦労した部分や、感心した部分とかありましたか?
「まず、そうですねー。僕とは違う感覚をもっている人達、僕が考えつかないようなようなビートを聴かせてくれて良い勉強になりましたね。僕にはない味、出せない味を実感させてくれました。世代が違うと、感じるツボとかも違ってとてもよい刺激になりました」


Q. 特に、面白いと思ったプロデューサーの名前を挙げるとしたら誰ですか?
「そーですねー。なんというか皆良く聴こえました。こうミックスや、マスタリングをしている時に毎日何十回とアルバムを通して聴いたんですが、お互いがお互いをよく聴かせている感があって、全曲を繋げて聴くと総合的にまた良くて一曲、一曲が違った雰囲気で聴こえました」



photo by Ayako Yamamoto (10.21.08)


Q. そのコレクションした曲を、最後はDJ的にマスターミックスした訳なんですが、自分が苦労して作った曲を大胆にカットしていく気分はいかがでしたか?
「これはホンとテクノロジーの進化ですよ! コンピューターでつくった曲をすぐにでもDJソフトでカッティングできるんですから。なんとも魚釣って、さばいて、すし握って、それを食べて、全部一人占めしてしまった感じ。贅沢ですね」


Q. 独り占めしちゃうんですか?
「へへへ、すしパーチーしたいですね」


Q. ターンテーブルにすし乗せて回す感じですか?
「恵比寿の中華料理屋みたいですね」


Q. 話それちゃいましたね。
「すみません。Disk2にはミックスされていない状態の曲が収録されているので、CDJでもスクラッチライブでも、是非、みなさんにミックスして遊んで貰いたいです。そしてそれを聴かせて欲しいです」


Q. 今回のジャケットは、主要参加メンバーのポートレートをわざわざスタジオで撮影したり、ジャケットもグラフィック、タギングとかなり凝っているみたいですけど、その気合いはどこから来たのでしょうか?
「へへへです」


Q. へへへ、ですか?
「愛は全てを救うのです。ひごさん「ぽにょ」見て下さいよ。僕は「ぽにょ」をみて愛は、不可能を可能にすると知りました。

かっこいいですか、俺?


Q. いやー、よくわかんないすね。
「そんことないでしょー。そういえば昔「KAN」っていう男性シンガーいましたよね。流行った歌の名前は…」


Q. あのー、そろそろ締めの方向に向かいたいのですが、
「あ、そうですか」


Q. Top Billion Studiosでは今後はどういったアーティストの作品をレコーディングしていくんですか?
「今年は、まずは、CHIYORIさんのアルバムだすねー」


Q. それは楽しみですね。
「でっ年末はスタジオの掃除ですかね? 参加出来る人は是非是非」


Q. えっ、募集するんですか?
「そうです。年末一緒に一年の汚れをとりましょう!」


Q. いまようやくThe TBS Projectの本当の意味がわかりました。
「そーなのです。もうVol.2は始まってるのです。同じ釜で飯食う人募集です」


Q. 釜ないすけどね。
「じゃあドンベー」


Q. 通訳すると、TBS Vol.2に入りたいひとは大掃除に来い、ギャラはドンべーだそうです。
「そうです。沢山のご来客をお待ちしています。問い合わせは、info@maryjoy.netまでメールください。でっ大丈夫ですか?」


Q. それより年末と言えば、The TBS Projectのリリースライブがありますね。
「12/26 (金)の夜中、場所は渋谷PLUGです」


Q. Billさんはどんなセットを考えているのですか?
「どんなのが良いかなー。例えば……、年末なので、大名行列的なパフォーマンスで今年を〆たいです」


Q. ぞろぞろ出てくる感じですか。ビルさんは将軍ですか?
「怪盗ゾロゾロです。ぼくは、漁民です」


Q. すみません、話がとびすぎて手に負えないんですが、、
徳川家康です。鳴く迄待とうホトトギス。待っていていい事もありますよ」


Q. 大阪冬の陣ですか? 渋谷なんですけど。
「そうそう、つわもの達の夢の跡にしたい? かな」



photo by Takashi Hirama; Candle & DJ Top Bill (Unit 6.18.07)


Q. Billさんは最近Candleと仲良いみたいですが、二人で何をしているのですか?
「コントの練習ですね。


Q. これでビートを作りましょうってヤツですね。
「さすがひごさん」


Q. ビルさん腹減ってきたんすけど。
「このままだと朝まで続いちゃいそうですね」


Q. いま、僕とビルさんは1mくらいの距離に居て、ネットでチャットしてます。
「近くて遠い二人ですね。きゃー」


Q. 照れないでくださいよ。テクノロジーの使い方間違えているんですから。
「いえいえ、ふんだんに利用しています。〆ルとすれば、今回のThe TBS Projectは、テクノロジーが進化したゆえにできた作品だと思います。インターネットでの音のやりとりとか、コンピューターどうしのソフトでの音のやり取りとか。でも根っこには、ゆるぎない人の繋がりがあって完成させたものです。なんで参加してくれた人、協力してくれた人には、感謝して、これが視聴者に伝われば良いなと思ってます」


Q. 急にまじめになるんですね。
「てなかんでー」


Q. おつかれさまです。ありがとうございました。
「こちらこそでーす」

The TBS Project 公式サイト
http://www.maryjoy.net/tbs/
DJ Top Bill Profile
http://www.maryjoy.net/mj_topbill.html
MI7 & DJ Top Bill Blog (MI7会社ブログ)
http://mi7store.exblog.jp/