反省と感謝

去年の年末から 数組のアーティストの製作に関わってきて、六月末までにリリースが一段落した。そして、六月のリリース前後からライブを頻繁に行ってきた Eri Bill Orchestra は、先日の大阪公演でライブ一段落。Rumi との合同リリースツアーとして、東名阪などを回ってきた Candle は、来週末の姫路、徳島でツアーを終える。
自分は、というと最近、かねてから興味があった cd を聞いたり、ライブやパーティに行ってみた。そして、興味深い経験を沢山した。一部は連載にも書いたが、あれはただの感想文という感じで、脳ミソをさらけ出すようなことは書けていない(文才ないんで)。
今週は、現在 Mary Joy で作品を制作中のアーティストのヒアリングをした。まずは「歪曲LP」を録音中の、shing02 だが、かれこれ、2003年5月から録音をしている。彼はカリフォルニア州オークランドで生活しながら製作活動をしているので、大体メイルや電話で、コンタクトを取っているのだが、今週はより具体的なヒアリングをした。まだスケジュールを決定するには至っていないが、録音は佳境という感じ。自分もどきどきしている。PV の撮影や、ジャケットなどの作業も平行して行われている。そして、「HEAD)ROME」を製作中の Ari1010 は、相当ちゃんとしているので、殆ど心配はしていないけど、昨日会って話し込んだ。こちらも調子良さそうだ。トラックはほぼ全てそろっていて、今しこしこ作詞をしているという具合だ。
今週は、それ以外に印象的なセッションが二つあった。一つは DJ Kensei さんと話したこと。もうひとつは、Hitotzuki の SASU さんと話したこと。
知っている人もいるかもしれないが、Mary Joy Recordings の運動は、今年で 12年目になっている。レーベル立ち上げの時から、つまり 1995年から、先輩としてアドバイスしてくれた人、DJ として、アーティストとして、レーベルの運動に最も貢献してくれた人は、DJ Kensei さんだ。唯一彼だけが、自分達の運動を最初から応援して見守ってくれている。今週話したときにも、自分に喝を入れてくれた。もっと攻めるように言ってくれた。
その二日後、Hitotzuki の SASU さんからも、喝を入れられた。背筋が伸びる思いがした。Hitotzuki は尊敬するアーティストであるが、音楽とペイントという異なった立場から意見を言ってもらえるので、とても勉強になる。KAMI SASU 両先輩からは、仕事のことも、それ以外のことも、かなり勉強させてもらっている。
話はさかのぼるが、1998年から2001年まで、"Tags of the Times" という hip hop のコンピレイション・アルバムを編集して、そこから、shing02 や、murs などの才能を日本で紹介してきた。そして、コンピに参加していたアーティストのシングルや、アルバムを発表していった。1999年から2002年まで、アメリカやヨーロッパでもレコードをリリースしていたのだが、色々トラブルがあってビジネスがうまくいかず、日本で体制を立て直してやっていくことにした。DJ Top Bill が日本に帰還して、自分が、Candle や、Ari1010 に出会ったのはその後くらいだ。
レーベル始めて 12年目。近い未来だけを見ながら、悪い言い方だと、行き当たりばったりな感じでやっている。信念は貫いてきたつもりだが。布石はうってきたつもりだが。まだ大勢の人に理解を得られるようなことは出来ていない。最近ライブを見に行って、頑張っているな、カッコイイな、と思う若いアーティストと話したら、"Tags" とか、shing02 とか、昔の Mary Joy を聞いて育ったと言うのだ。今、自分が手がけているレコードで、それを聞いて育つアーティストが居るのか?と聞かれれば、なんともいえない。「歪曲」が時代を象徴する作品になるのは間違いと思うが、レーベルも自分自身も、もっともっと、がんがん上を目指していかないと駄目だと思った。
"Tags of the Times" は、Mj の原点ともいえる一枚だが、実はいまは生産されていない。shing02 "Pearl Harbor" も同様だ。改めて告知はするが、"Pearl Harbor" は、年内中にカタログに復活させるつもりだ。当時と同じ内容だが、ジャケ付きで。"Tags" はどういう体裁になるか分からないけど、もう一度カタログに戻したいと思っている。勿論、"Cuts" も。売れるとかそういう問題じゃなくて。
先輩にこれだけ言ってもらって、下の子たちにもリスペクト貰って、ありがたいです。Mj まだまだ頑張りますよ。

遊びじゃないのよ。真面目な話。